ルヴァン種って知ってる? 急上昇キーワードにまつわる光と闇

日本人の食卓にパンがある生活は、もはや当たり前になりました。


ドイツパン、フランスパン、イギリスパン、世界各国のパンが日本で融合し、日本人の好みに合わせて目覚しい進化も遂げました。
世界には『パン菓子』はあるけれど、日本のような『菓子パン』はありませんもんね。

そんなふうに独特な成長をした日本のパンに、最近聞きなれない肩書きが付けられているのを見たことはないですか?

今年が明ける頃から、ベーカリーカフェを中心に増えてきた謎のキーワード。

今ではコンビニのサンドイッチまでがその名を冠しています。

そのキーワードと言うのが……

ルヴァン種


ピンと来た方もいるのでは?


そう、見たことありますよね。
でも特に気にしたことがない人もいることでしょう。

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話題のルヴァン種ってなんなの?

わたし、なんとなくのイメージで、『ちょっといいバターか何かが練りこまれているんだろう』って思ってました。

種って書いてあるのに、なぜかバターだと思い込んでました。

じゃあ何かって言うと、これパンに混ぜる発酵種です。
普通に配合して捏ね上げたパン生地を一晩以上寝かせて作るのが発酵種です。


新たに作ったパン生地に、この発酵種を一定量加えることによって、しっとり感が増すそうで。

ちょっといいバターとかじゃなかったー。恥ずかしい。

ルヴァン、というのが、フランス語で『発酵』を意味するらしいです。
なので、ルヴァン種使用ってのは、『あえて時間をかけて、しっとりさせてるパンですよ』ってくらいの意味合いでいいと思います。

パンといえばフランスパンを思い浮かべる人もいて、それなら本場のやり方でパンを作ろうという意識が高まってきた。


本場のものはおいしい。おいしいに違いない。おいしくないわけないんだ。
だからルヴァン種を使ってることを大々的に宣伝しよう!という流れなのでしょう。

実際、おいしいです。
……とはいえ、ルヴァン種を使用していないパンと食べ比べてみたわけではないので、これも先入観なのかもしれませんけれども。


日本人も本場の味を求めるのだなあ……なんて思っていた矢先、ある事件が起こりました。

本物を求めておいて『本物』を受け入れない

都内の大手デパートで開催されたフランス展での出来事。


本場のフランスパンを実直に再現し続けている、行列の出来る人気ベーカリーが出店のオファーを受けた。

意気揚々と、スタッフ総出で焼き上げた自慢のフランスパン数種を販売するも、客の一人から『焦げたパンを売っている』とデパート側にクレームが。

その場にあった200本近いバゲットやパンオフリュイ(ドライフルーツ入りのパン)などが廃棄処分になったそう。


たしかに、この店が扱っているパンは濃い茶色をしているし、いつも目にするパンとは明らかに色が違う。


デパート側も、クレームが入ったからには何らかの対処をせざるを得なかったのかもしれないが、ベーカリー側は大変な損失を被るしたまったものではない。

国内で出回っているバゲットなどのパンは、本場から見ればまだまだ生焼けレベル。

本来のバゲットは、かりっと香ばしく焼かれるべきものだからだ。

きちんと焼けば、酵母の作用で色が濃くなる。

けれどそれは決して焦げているわけではない。

店側はショックを受け、インスタグラムにて『会期途中だけれどもうやめたい』『なんで自分たちを呼んだんだ』『スタッフたちは死ぬ気で働いて焼いてくれたから悔しい』『パン屋ごとやめたい』と辛い心境を書いている。

会期終了まで、それでもなんとか出店はし続けたようだが、心ないクレームのせいでベーカリー側が甚く傷つく結果となった。

店頭から撤退させた200本近いパンたちは、デパートの社内研修に使われたとか言われているが、真相は定かではないようだ。

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本場を求めておきながら、本場のものを排除しようとするクレーマーとデパート側を見て、大きな矛盾を感じないだろうか。

なじみのものと違うからといって受け入れようとしない。

日本人によく見られる保守的な性質が浮き彫りになった事件だった。

あまりにももったいない。パンが、というわけではなく、せっかくこうして本物を、味にも商品に対しても真摯かつ情熱を込めた誇りを傷つけてしまったこと。

少しでもいいものを、と張り切っていたであろう職人たち、オーナーの心境を思えばやりきれない。

後から言うならいくらでも言えることではあるのだが、デパート側も催事として扱う商品にたいしての知識を周知させるべきではなかっただろうか。

クレームが来たから、じゃあ売っちゃだめ。売りたいなら黄色いパン焼いて。

これでは、わざわざこだわりのあるベーカリーを据える意味がないのではないか?

パンに限らず、このようなことはおそらくこれからも続いていくだろう。

『自分の知らないものは異質』という排他的な現実が浮き彫りになった今、これから意識を変えていくための方向性がわずかながらでも見えてきたと信じたい。

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