15日、京都府警捜査2課は、山科署地域課の男性巡査長(38)を詐欺の疑いで逮捕した。
巡査長は警察の職務として伏見区の男性(78)の自宅へ向かい、現金1180万円を騙し取った疑い。
男性は前日に銀行から多額の現金を引き出した。その折、銀行から府警あてに『高額の現金引き出しが行われた。詐欺被害に遭っている可能性がある』との緊急通報があったという。
対応をしたのが巡査長であり、そのときに男性が多額の現金を持っていることを知ったのだろう。
男性宅を訪れた巡査部長は『お金を預かります』と持ちかけ、現金1180万を騙し取った疑い。
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事件 時系列まとめ
男性が銀行で現金を引き出す。
銀行側から府警に『詐欺被害では?』との通報が入る。
そのときに窓口に駆けつけ、男性から事情を聞くなどの対応をしたのが巡査長。
後日、銀行での対応で男性の資産情報を把握した巡査長が男性宅に現れる。
『現金を預かっておく』と持ちかけ、約1200万を詐取。
今月15日 巡査長は詐欺の疑いで逮捕
公表されている犯行動機
巡査長は外国為替証拠金取引(FX)をしていたようで、詐取した現金を損失の穴埋めに充てた可能性があるという。
FXをやること自体は個人の自由であり、法に触れるものではない。
小さな変動がとても大きな利益を生み出す可能性もあるものなので、FX人口は増加の一途を辿っている。
だが同時に『小額しか動かしていないけれど損失も莫大』という場合も当然ありえる。
ポケットマネー程度の金額をほんの少し増やすつもりが、なにもかも売り払っても足りないくらいの損失を生みかねない世界でもあるのだ。
実際、巡査長の損失がどの程度のものだったのかは公表されていないが、特殊詐欺対策を担当した現職の警察官が特殊詐欺を働いてしまい、身分も立場も職も名誉も家族も、全てを失ってしまうと言う皮肉な結果になってしまった。
銀行側の責任は問えるのか?
現金の引き出しは個人情報でもある。
ただ、これは警察行政機関として信用するべき機関であったからこそ、個人資産情報の漏洩とは考えず通報したのだと思われる。
銀行側の対応は非難されるべきものではなく、むしろ本来ならば『詐欺被害を水際で食い止める詐欺対策』として最も有効な手段であったはず。
しかしこんな事件が起こってしまうのだとしたら、銀行はこれから先どうすればいいのだろうか?
高齢者が多額の現金を引き出した。
詐欺にあうかもしれない。
けれど警察に言うと、同じような事件になるのでは。
気にはなるけれどどうしようもない。
そんな状態になってしまうことは火を見るより明らかだろう。
無論、警察側からも正式な謝罪と再発防止に関しての動きはあるだろうが……やはり通報には躊躇するのではないだろうか。
警察に助けを求めて新たな被害に遭う可能性と。
あくまでも個人情報は個人のものとして口をつぐんで顧客が詐欺に遭う可能性と。
どちらに転んでも結局責められる銀行にとっては、なんとも面白くない状態ではないか。
まとめ
警察官のコスプレをした悪質な詐欺なのではない。
本物の警察官が堂々と詐欺を働いたのだ。
お金に関しては誰であろうと易々と渡してはいけないのかもしれない。
何をどこまで信じるのか、どこまで疑うのか、自分自身で考えなくてはならない時代になっているのかもしれない。